了(りょう)

このブログは「思想」をメインに扱います。私の場合は思想と云っても決して高尚なものでなく「対話重視の思想」という程度のものです。😓

由美子って廣野だよね!?⑲ 大事なコリンズ様💛

ここで物語りの骨子を振返ってみます。ベネット家の家族構成は両親と5人姉妹で、男児は居ず、これからも男児に恵まれることはないようです。このままでは英国法に則って父親が亡くなった瞬間から残されたベネット家の6人の女性は住処を失う定めです。

当時40才代で亡くなるのは普通ですからベネット家の父親が失くなることも覚悟して置かねばならない。そして父亡きあとの生活プランが出来てなければ忽ち路頭に迷うことになる。これはもう呑気に恋愛してる余裕はない切羽詰まった状況だとお分りだろう。

それならどうするのが善いか?㋐父の遺産を引継ぐ権利を持った男性を立てる。㋑嫁入りする。㋒資産家の親戚に身を寄せる。㋽働きにでる。㋔家なき子フランダースの犬の主人公のように野原や軒下で夜を過ごす。この㋐㋑㋒㋽㋔のどれかになりそうです。

㋐㋑を併せた対象がコリンズです。コリンズは遺産を引継ぐ親類ですから彼に嫁げば暮らしは保障されるでしょう。コリンズの嫁はベネット家の娘と決った訳でなく、コリンズがリジ―から侮辱される謂(いわ)れがあるように聞かされた憶えは私には全くない。

オースティンの時代、働いた経験のない女6人が路頭に迷うのは惨めに死を待つに等しい筈だ。『レミゼラブル』でコゼットの母は娘を預けて死ぬまで働いたが、ベネット家を待つ現実もそれと同じ‥コッペパン1個のために盗んだり身体を売ったりした民衆。

他に生きる術がなければ盗んだり身体を売って命を繋ぐのは普遍正義に適う。即ちバルジャンが一切れのパンを盗んだのは正義。バルジャンの物であるべきパンを奪った者が邪悪なのは言うまでもない。ミリエル司教は返すべきをバルジャンに返しただけだ。

念のために云えば、「国法 ≠ 普遍の正義」となり、普遍の正義から外れる国法と国法は互いを傷つけ合うことになる。ミリエル司教は国法に依らず、生命を尊ぶ普遍の正義に遵ってバルジャンを尊んだのだ。人間を蔑む法は普遍の法・普遍の正義にそぐわない。

ともあれリジ―は、謂れなく蔑んできた(?)コリンズを夫とする途を拒絶した。コリンズが差出すパンを拒絶するのはリジ―の勝手だし、国法が護るべき対象をリジ―からコリンズへ替えたことはリジ―にとって甚(はなは)だ面白くなかったのは事実でしょう。

それにしてもリジ―がコリンズを強気であっさり振った背景に姉ジェインと富豪ビングリー氏の交際があったと分る。ベネット家の人間の目にはビングリー氏がジェインに夢中のように見えたと捉えられる‥大物富豪はベネット家の女たちを護ってくれる筈‥。

諺に捕らぬ狸の皮算用というが、ビングリー氏がジェインを簡単に捨てるだなんて‥計算違いの青天の霹靂ビングリーに振られたジェインの噂は瞬く間に拡散されるのは今も昔も変らないと思う。「大事な大事なコリンズ様、戻って来て」と今さら言えまい。

ジェインは当分立ち直れまい。三女に能動的な恋はあるまい。四女五女は軽薄。最早誰にも頼れない断崖絶壁の状況に追い込まれて次女リジ―のヤル気は無理にも曳きだされる。背に腹を代えられないのならダーシーの多少の瑕疵には目を瞑(つぶ)らなきゃね。

(いやいや、リジ―の本音は脇に置いて) 彼女が置かれる立場はこういった状況に違いなく、ボロを纏った女6人が空きっ腹を抱えてコリンズに食べ物を恵んでもらっている姿まで想像できるリジ―ってことは誰も否定しないでしょう? これはまさに女の一生だ。

私は奇麗ごとを言う積りはないのです。世界中の女が売春婦になるのも視野に入れてるし、世界中の男が野獣と化して弱い人を食い物にしている姿も視野に入れている。私の娘も孫娘も例外でなく、息子も孫も例外であり得ない。嫌だから避けられるのでない。

嫌だから警鐘を鳴らす。リジ―は私には他人事でない。😓